駆動部設計において、「プーリ/ベルト」、「プーリ/ワイヤー」などの動力伝達機構は、医療機器以外にも、よく採用されているかと思います。 そこで、本記事では、特に使用されるタイミングベルトの選定および安全率について、計算シートを作成致しましたので、皆さんに共有いたします。
- 各タイミングベルトメーカー様で提供されているツールではなく、自身で選定計算を好む方
- 設計仕様書/設計計算書として選定結果および算出結果を記録しておきたい方
それでは、以下より、一緒にタイミングベルトの選定を行っていきましょう。
タイミングベルトは、以下のように複数メーカーが存在します。
今回は、筆者がよく使用しているゲイツユニッタの「パワーグリップ® GTベルト」の選定にフォーカスさせて頂きます。
- ゲイツ・ユニッタ・アジア 株式会社<リンク:https://www.unitta.co.jp/>
- バンドー化学株式会社<リンク:https://www.bandogrp.com/index.html>
- 三ツ星ベルト株式会社<リンク:https://www.mitsuboshi.com/japan/
メーカカタログを参考に設計対象に合わせて、K1~K4を選択し、EXCELシートへ記入下さい。
EXCELシートは網掛け(青)は、ご自身でカタログを参考に記入下さい。
網掛け(赤)は、自動計算となっています。
新規設計の場合、実負荷が不明であることが多いため、今回は③の例でEXCELシートを作成しています。
実負荷などがすでに既知である場合などは、適宜算出シートを変更して下さい。
※強い要望があれば、①、②、③を選択式にできるようにしてみます。
モータ容量から求める場合、選定したモータの出力を記載します。
STEP2にて算出した設計動力と小プーリ側の回転速度より、ベルトタイプ選定図からベルトタイプを仮選定します。
モータ容量から設計動力を算出された方は、モータの最大連続トルク時の回転数や無負荷時の回転数などを参考にし、選定して下さい。
筆者は、1.5GT~3GTの範囲のものをよく使用しています。
本EXCELシートに選定したプーリの歯数、ピッチ円直径、軸間距離(設計値)を入力します
以下は参考例になります。
概略ベルトピッチ周長を確認して、カタログより最も近い長さのベルトサイズを選定します。
選定後は、Lpに直接選定した長さを記入します。アイドラやベルトテンション調整機構を設けることを前提にぴったりのサイズがないときは大きめをお勧めします。
※ 例:自動計算にて150[mm]となったが、カタログでは、155[mm]を選定した。
軸間距離検算では、選定したベルト長さにて適切な軸間距離を算出しています。
かみ合い補正係数をカタログを参照し、入力します。
かみ合いが6歯以上であれば、補正係数は1.0になります。
伝動に必要な概略ベルト幅係数(WF)を求め、ベルト幅補正係数表より概略ベルト幅係数(WF)を上回るような
ベルト幅補正係数(Kw)を選択します。
基準伝動容量(Pc)・ベルト長さ補正係数(KL)・ベルト幅補正係数(Kw)をカタログを確認し、記入します。
ベルト総伝動容量を算出し、最終負荷補正係数を算出します。
最終負荷補正係数をSTEP1で算出した負荷補正係数で除し、安全率としています。
最後に選定したベルトの型式が表示されるようにしています。
タイミングベルトの選定は以上になります。
わかりにくい点や誤り等ございましたら、コメントにてお知らせください。
また、ベルトの張力の計測やアイドラ設計など興味のある内容ございましたら、
フィードバック頂けますと幸いです。
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